- tetsujiro369
アナログカメラの美学
アナログカメラを始める人が最近少しづづ増えてきていて、デジタル勢からの出戻りさんも多いと馴染みのカメラ屋のオーナーさんに聞いた。
嬉しいことだと思う。
その反面、アナログフォトの環境は年々厳しくなっている。
消えていくフィルムたち。最高傑作であろうAdoXのMCCペーパーも採算が取れずに生産中止になり、ロジ二ストと呼ばれる人たちから愛されるロジナール現像液もすでに日本で見ることはない。
せっかく、アナログカメラに踏み込んできた人たちが、先へ進もうとしても肝心の素晴らしい素材がない。最初は不便さの中に宝探しの感覚で来てくれたとしても、あまりにもめんどくささが募ると引き返したくなるのが人間の常だ。
アナログカメラは求道者のような心情で取り組まなければならないようになってきている。
そしてその先は滅びゆくものたちの歩みだ。
デジタルのことはもう語ることはない。自分はデジタルからは離れた身だ。
モノクロフィルムに取り憑かれる人は時々いる。
しかしながら、日本国内では危険薬物の指定が多く、現像液を自家調合するのもなかなか難しい。
日本にいても仕方がないから、海外にいって活動しなさいとよく言われるが、日本のモノクロフィルム事情は余程厳しいと見える。
アナログカメラの楽しさをどう伝えていったらいいのか、毎日のように思いあぐねているが、自分一人の力ではどうにもできない。
アナログカメラの美学とは滅びゆくものの美学なんだろうか?
楽しく面白く伝えるような人格であれば良かったのだけれども、如何せん、根暗な人間だから、どうしても広く伝えていけないのがもどかしい。
ロジナール。昨日やっと手に入れた一本。最後の一本になるかもしれない。
